更新日:2021年3月23日
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喜界島の料理は、喜界島の気候、風土の中から長い年月をかけてうみ出されてきた先祖の尊い「生活の知恵」の足跡です。
昔、喜界島の人達の食生活は、ほとんど自給自足だったので自分達でつくったものが食事のすべてでした。材料として使われたものには次のようなものがありました。
喜界島の土地で自然に生え育った山菜やソテツの実、栽培した野菜や芋類、穀類、川や海で漁した貝、魚、海藻、家で飼育した豚、山羊、鶏などでした。
そのほかに、砂糖をつくって甘味料や酢とし、塩、しょうゆ、味噌をつくって、調味料と保存料とし、ゴマや菜種から油をとり、これなどをいろいろと工夫し組み合わせて料理しました。
汁物、炒め物、揚げもの、煮物、蒸し物、漬物、酢物など冠婚葬祭や年中行事の料理とし、また、日常の食事としてきました。
主食は、お芋が主で、ソテツかゆ、麦ご飯、粟ご飯が時々となり、白米のご飯は、なにか行事がある時だけでした。
豚肉、山羊肉等は、塩漬けの後、乾燥させ、高倉やカメに保存し行事食としました。脂肪は、溶かしてラードにし日常食の「だし」としました。
魚は、クグシといって串にさして遠火であぶり塩で保存し、骨はあぶってだしにし、臓物は、塩からにしたり、酢物のだしに使われました。
昔は肉が少なく、緑の野菜、山菜、ゴマ、豆腐、キクラゲ、貝、小魚、アオサなどが日常の食事でした。栄養的知識もなかった時代に生きた先祖の人達の、新鮮で、バランスのとれた料理に、すばらしい「生活の知恵」を知ることができます。喜界島の人が長命で、なお、たくましい体格の人が多かったのも当然のことといえるようです。
時代がかわり、加工食品や既成食品が出まわり、郷土料理も次第に影をひそめていく傾向にあります。
郷土料理を今一度見なおし、喜界島の味、おふくろの味をいつまでも伝えたいものです。
スデブタ、シイムン、サンペーツキの三品を三献といい、スデブタとサンぺ-ツキは大きな器に盛り、高膳にのせて「床」の前に供えます。
お客や古書を持った子どもなどがあいさつまわりでやってくると、小分けしてふるまいました。
スデブタとは、長方形の塗物の容器で、その中に盛り合わせた料理も含めてスデブタといいます。
盛り合わせの品物は、魚、豚肉、卵、大根、人参、コンブ、豆腐、の七品とされているが、豚レバー、豚の耳、イカ、里いも、てんぷらなど縁起のよいものがつかわれました。
【作り方】
おぞうにですが、大事な行事には必ず出る料理です。
【作り方】
もち、魚、豚肉、コンブ、ねぎのほかに卵、シイタケ、里芋、鶏肉も入れます。一番だしをとってから、塩、うすくちしょうゆで味つけします。
正月には必ずつくる酢物で,ごちそうのあとに食べるこの味は格別です。
【作り方】
大根、人参を松・竹・梅の形に切り、酢、しょうゆ、塩からのだしで3~4日間漬け込んでつくります。
その他、塩抜き数の子、オバとねぎの酢味噌あえなども酢物としてつくります。
年の晩には必ずつくる料理です。これを食べないと年の晩の気がしないといわれ、又、異郷の地で年越しそばを食べる毎に、これを想い出すというぐらい、ふるさとの味の料理とされています。
【作り方】
豚肉を丸のままゆがくか、そのまま切って油で炒め、しょうゆ、砂糖で調味し、にんにく葉もまぜて炒めたものです。
これも年の晩の忘れられない料理の一つです。
【作り方】
3センチ厚さの大根や島高菜をゆがいて、だし汁、しょうゆで煮しめたものです。
豚骨や豆腐などもいっしょに煮込むところもあります。味のしみ込んだ厚い大根とやわらかい島高菜のおいしさは年の晩ならではの味です。
正月デーの料理は、おせち料理と同じで大皿に盛って実家にもっていき親兄弟がいっしょになって食べます。
米、もち、野菜など七品を入れてつくります。だしと味噌または、しょうゆで調味します。
魚、豚肉、大根、人参、豆腐、コンブなどをだし汁としょうゆで煮しめてつくり、皆で夜食べます。
仲間同士が材料を出し合って、自分達で料理して皆でいっしょに食べる行事で、料理は主にソーメン料理です。
【由来】
田芋は分けつして多くの子を抱くので、田芋のようにたくさんの子どもが生まれて幸せになるように、という願いがこめられています。女の子の節句に必ずつくるもちです。
【作り方】
やわらかく煮た田芋をつぶし、黒砂糖、はったい粉を混ぜ合わせ、丸く形どりし、きな粉をまぶして器に盛ります。
【作り方】
ゆがいて、砕いたよもぎと、もち粉、黒砂糖をまぜ合わせて丸めハッパに包み、蒸し器で蒸します。春の香を味わえるおもちです。
麦を収穫後、骨休みする時に料理して食べる麦ごはん料理です。
【作り方】
生ガニ又は川えびを砕き、カラを除いた身でだし汁を作り(ない時は、かつおだし)で焼味噌を溶き入れニラも入れて、麦ごはんにかけて食べます。
【作り方】
砂糖を水でとき、小麦粉と合わせてまぜ、鍋に油をひいて薄く焼いたものです。このごろは、卵やふくらし粉も入れてつくるようになりました。5月5日は必ずつくるもちです。
香り高いサネンの葉に包んだおもちで、このおもちは5月5日ばかりでなく、お盆や冬うんみ等にもつくります。よもぎを入れたのはフツムツチーです。
【作り方】
もち粉、お芋、黒砂糖をよく混ぜてねり、適当に丸めてサネン葉に包み、蒸して作ります。昔は、蒸した汁は「鬼の足焼き」といって、灰にかけて悪魔払いをしていました。
お盆料理は、「精進料理」がほとんどだが、15日の送り盆は「精進落し」といって肉、魚、いか等を冬瓜、かぼちゃ、コンブ、豆腐、卵などと共に作ります。
お盆3日間の献立は大体次のようになっています。
(朝)
(昼)
(3時)
(晩)
(朝)
(昼)
(3時)
(晩)
14日と同じですが、精進落し料理とお酒を出し、酒盛りをして送り盆とします。
精進料理は、かぼちゃ、干し大根、卵焼き、魚、豚肉、コンブなどを大皿に盛って供えます。
このほか、祖先のあの世への土産物として、ハサームッチーやオマルムン(米粉を水とこねて丸めたもの)型菓子その他いろいろお供えします。
1.ウトシル(ミンダン)
お盆のほか、33年忌祭に必ずつくるものです。
【作り方】
もち粉、きび粉、麦粉などのあらびき粉と黒砂糖、水を混ぜ、厚鍋で時間をかけてたき、お椀に盛ってお供えします。
2.フクリカン(ふくれ菓子)
黒砂糖を水でとき、小麦粉に少々の酢とふくらし粉を入れて混ぜてねり、カン箱に入れて蒸します。冷ました後で長方形に切りお供えします。
このお菓子は、お盆のほかに祭時にもつくっていましたが、今はいつでもつくって食べるようです。
3.カンムツチー(かんもち)
このカンムツチーとフクリカンは、お盆やお祭りの時のイへ-ムツチー(位牌餅)として、位牌の形に切ってお供えします。
33年忌祭には、この両方をお供えして供養します。
フクリカンはフク(肺臓)をあらわし、カンムツチーは、キム(肝臓)をあらわしたものと伝えられています。
【作り方】
もち粉、米粉、黒砂糖、水をうすめに混ぜ合わせ、布を敷いたかん箱に入れ、長時間かけて蒸し、蒸し上ったら冷まして適当の大きさに切ります。
4.グマッカシ(ゴマ菓子)
自家製の黒砂糖とゴマをまぜてつくったもので、その香り、味、上品さは、まさに喜界島の名菓とされ、来客用に、お土産用に、行事用など多く利用されています。
喜界島の人の長命は、このゴマによるものともいわれています。
【作り方】
黒砂糖をたいてあめ状にした中に、いりゴマを入れて混ぜ合わせ、型に入れて冷やしてかためます。その後、とり出し適当な大きさに切ります。
5.シマッカシ(型菓子)
米、そら豆、小豆などの炒り粉と黒砂糖でしっとりとなるまでもみ合わせ、そのまま花形の菓子型に強く押して形をとったものです。お祝いの時などにもよくつくられます。
6.じょうひもち
もち米がたくさんとれるようになってからつくられたもちで、保存がきくのでお土産用にも利用されています。
【作り方】
もち粉、黒砂糖を水で混ぜ、厚鍋でまぜながら時間をかけてたき、かたくり粉をしいた上に取り上げ、冷えてから切ってお供えします。
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